アウトドアと飯のあれ

神奈川→富山在住のアウトドアと飯と旅行のあーだこーだ

2019年8月13日 [撤退]錫杖岳

ウス。

 山にも人のように、顔があります。

『貴公子』『貴婦人』と呼ばれるように、山容の風貌は登山者を魅了する要因の1つ。

嫋やかな山も味がありますが、僕は巌巌として人を阻む山が特に好きです。

今回の舞台は新穂高の怪峰、錫杖岳です。

 

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錫杖岳。北アルプスに属する標高2,168mの岩峰。

新穂高からその山容を望めるロッククライミングの聖地。

一般登山道のないバリエーションルートが続く、北アルプス有数の難所で知られる。

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峻険な錫杖岳(中央奥)。

家から新穂高まで車で1時間半程の距離。

ですが今まで来たことがなく、今回が初穂高です。

 

着いてみて一言

「なんじゃこの人込み…。」

 

時はお盆、観光客だらけで、朝5時過ぎと言うのに無料駐車場が満員です。

 

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キバナノヤマオダマキ

早々に車を止めて、荷物を持って目的地へ。

 

今回の始点は笠ヶ岳クリヤ谷登山口。

笠ヶ岳と言えば北アルプスの中でも長丁場の山ですが、

数本ある中でも経験者向けとされるのがこのクリヤ谷ルートです。

 

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クリヤ谷渡渉。

初っ端の急登を超えながら進むこのルートでは、途中クリヤ谷を渡渉します。

水量が多く、ローカットなら丸々浸かってしまう程度。

一応AlpSpryはゴアテックス素材ですが、踝まで浸水しては何にもなりませんし

脱いで渡ることにしました。つめたーい。

 

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前衛フェイス。

その後も40分ほど進むと、錫杖岳前衛フェイスが見えてきました。

これが見える頃に直進と左で分岐します。

直進すれば笠ヶ岳、今回は左折。

 

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錫杖沢出合。

クリヤ谷と錫杖沢出合へ。

この大岩だらけの沢をただひたすら上っていくのが、錫杖岳のルートです。

 

シーズンの北アルプスと言うのに、今回5人ほどしか道中で見かけず。

人気(ひとけ)のない山とは聞いてましたが、その理由は後々身に染みることに。

 

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ただ只管沢を詰める。

体幹と足捌きが試される修験道

岩質は決して悪くなく、ひたすら岩を登る、僕の大好物のような道でした。

だけどね、暑い!

 

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ダイモンジソウ。

時折上から降りてくる風が心地よいですが、日当たり抜群の斜面なので

掴む岩が45度くらい、まさに岩風呂、終始地獄のような暑さでした。

そりゃ誰もこねーよ…。

 

登っている最中はアドレナリンが効いていたのでしょうが、

下山時にこれが猛威を振るいます。

 

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冷たい沢水。

時折水を飲みながら休憩して進む。

 

この山は以前から目標にしていたところの1つで、今回我慢しきれずに来ましたが、

北アルプスにあって有数の難所とも言われています。

一切の残置や鎖のない自然味溢れる岩峰でもありますが、

それ以上に危険なのが、『』です。

 

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穂高

雨が降ると今の道が、天然のウォータースライダーへと変わるのです。

しかもビバークしても台風のデスコンボです。死亡フラグビンビンです。

 

なので①15:00から曇天になるので、それまでに下山見込みでなければ終了

がどこかで鳴ったら即終了

という足切りラインを決めていました。

 

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クサボタン。

あまり見かけない花も多くて、夢中になりがちですが

集中力を切らずに登る、これが結構大変。

道中沢で休憩しつつ、取り付きから1時間少しでB沢の分岐に到着します。

 

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B沢。

A沢・B沢の分岐では、B沢の方が比較的楽ということで右折します。

ここを超えれば藪漕ぎ後にコルに出て、いくらもしない内に南峰山頂へ到着。

 

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登攀者が見えるよ。どこかな。

ゴジラのような岩稜を見ながら、更に強烈な岩場を登ること暫くして

さあもうすぐで山頂だな、時間も悪くないしこれは行けるなぁ、

勝ったなガハハ!とか思っていると

 

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穂高・西穂高・焼岳。

ゴロゴロゴロ…。⚡

 

あ゛っ…ハァ~…。

 

焼岳から雷鳴が聞こえました。

しかも風は向こう側から吹き上げています。

つまり、激ヤベーってことだ。

 

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1時間近くかけて沢出合まで戻る。

ということで泣く泣く下山しました。仕方ないけど。(;▽;`)ウオオオ

雷鳴は数回だけで、結局こちらに雲は流れてこなかったのですが、結果論です。

でも悲しいよー。(;▽;`)ウオオオオオオオォォ

 

モチベーションがプッツリ切れた状態の下山は、凄まじい疲労感に襲われました。

今回荷物が重すぎたのも良くなかったな。アタックザックくらいで良いと思う。

 

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クリヤ谷で涼む。大分マシになった。

ですが1つの目標だった錫杖岳に触れたのは良い経験でした。

次はこんな猛暑日ではなく、秋の涼まった日にまた登りに来ようと思います。

それまでに体力と経験を少しでも積んでおこうかな。

 

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飛騨牛コロッケ定食。うまー。

下山後はコーラガブ飲みして温泉に入り、飛騨牛コロッケ定食を食べて

家に着いたのが16時過ぎでした。

いつも使わなかった筋肉を酷使したのか、えげつない筋肉痛になっています。

台風空ける前には治っててくれよなー。

 

怪峰、また逢う日まで

ばいばいー。