アウトドアと飯のあれ

神奈川→富山在住のアウトドアと飯と旅行のあーだこーだ

2019年6月13日 医王山(金山峠登山口)

五箇山相倉合掌造り集落を後にして、午後から山に向かいました。

 

急に禁断症状が出たんですよ。怖いね。

ということで30kmほど離れた医王山(いおうぜん)が目的地です。

 

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医王山。金沢と富山に跨る山塊であり、最高点は奥医王山939m

日本三百名山両白山地の最北端に位置する。

白山泰澄が開山した薬草と花々の名山であり、

麓にはスキー場も設けられ、地域に根差した里山としての側面も持つ。

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五箇山道中の展望台から。左奥のスキー場のある山が医王山。

『いおうぜん』と読むのです。

中国・四国で『せん』『ぜん』と読む山が多いのですが、(蒜山伯耆大山)

関連性は知らなーい。

 

今回向かうのは最高点の奥医王山ではなく、医王山と指されることが多いピーク

白兀山(しらはげやま)を目指します。

 

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道中は峠を迂回した水平道を歩く。

麓にはスキー場イオックスアローザがあるので、馴染みのある県民も多い。

イオックス自体は2,3回しか行ったことないなぁ。飛騨のが近いし。

 

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数は多くないけれどササユリが見頃。

更に語らせてもらうと、

医王山は僕が最も好きな作家の1人、泉鏡花の『薬草取』の舞台でもあります。

鏡花は石川出身なので、馴染みもあったのでしょうか。

 

薬草取

薬草取

 

たまたま未読だったのですが、鏡花特有の歌うようにリズミカルな文体に

夢中になって、前夜に全部読んじゃいました。

 

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ササユリの色は県によって違うのかな?

それがないと凌げませんほど、水の少い処ですから、

菖蒲、杜若、河骨はござんせんが、躑躅山吹も、

あの、牡丹芍薬も、菊の花も、桔梗も、女郎花でも、

皆一所に開いていますよ、この六月から八月の末時分まで。

 

その牡丹だの、芍薬だの、結構な花が取れますから、

たんとお鳥目が頂けます。まあ、どんなに綺麗でございましょう。

                                                                                          (泉鏡花『薬草取』)

 

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40分歩くと、豊吉川源流部に合流。

『水不足』と形容される割には滝で涼みも出来る、緑豊かな山です。

正確には石川の戸室山の方から登り詰めたとありますので、

そちら側は沢も少なく、小説にあるストイックな山登りとなるかもしれません。

 

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源流遡行も楽しめるらしい。

沢直上の幅狭の鎖場を縫うように、慎重に歩きます。

(※岩質と苔の性質上、雨天時は滑落の恐れがあり非常に危険です。)

標高は決して高くありませんが、侮れない難路が幾つもあります。

ルートを吟味することで、ビギナーから熟達者まで楽しめるのじゃよ。

 

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ハナホウキタケちゃん!

キノコの生える倒木を屈んで越えると間もなく分岐があり、今回の核心部です。

 

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斜度45度。

トンビ岩直下岩壁!

高低差100mを一息で登る、岩峰が少ない富山屈指の鎖場。

これが楽しみで来たのです。

 

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ホールドはがっちり。山頂に近づくにつれて不安定に。

鎖を使わずガシガシ登れるので、岩場での足運びを鍛えるのにうってつけ。

よいしょ、よいしょ。

誰もいない鎖場は気が楽でいいなあ。

 

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医王山の岩は、兼六園の橋にも使われているとか。

ちなみに僕が歩いているトンビ岩周回コースは

一昔前、石川の小学生の遠足で度々登られていました。

現在では危険性との兼ね合いで、集団で登られることは無いそうです。

 

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遠くから見るとトンビが獲物を狙ってるように見える。

岩と鎖に格闘すること15分弱、絶景のトンビ岩に到着しました。

 

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市街地はちょうど石川県境。

てっぺんに登った景色は格別。

 

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大池。

上からは分岐を進んだ先の大池も望めました。

軽い森林浴で来るなら、そちらに寄って湖畔で休憩するのも一興ですね。

 

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岩付近は崩落が激しい。

アミノバイタルを飲んで出発。久々に岩と戯れました。

もっとアクセスが良ければいうこと無しなんですけどね。

 

ここから白兀山までは40分程歩くわけですが、これが前日の雨で泥濘みが凄く…。

虫はウナコーワクールを持ってきたからか、全然苦にならなかったけれど。

 

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名前不詳。かわいい。

6月からはベニバナイチヤクソウの開花時期ですが、早すぎたようですね。

まだ一輪たりとも見かけませんでした。

道中はニガナが多く見かけられました。

 

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15:00

ちょこちょこ切れ間があって、ようやく白兀山に到着。

ベンチと展望台があるだけの慎ましやかな山頂ですが、

少し手前には開けたスペースもあったので、行楽シーズンはそこが混むっぽい。

 

そして下山道中で『あるもの』を見かけました。

 

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ギンリョウソウ。

ギンリョウソウ

去年は見かけなかった。梅雨時期外して登山してたし。

 

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マダツボミみたい。

帰りの道中で思いがけず、多くの株を見かけました。

白いレースのような衣を纏って、目立ちたがり屋さん。

梅雨時期に見たかった花の1つを収められて良かったです。

 

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麓に見えるのがイオックスアローザ。

間もなく車道に降り、まずは一安心。

眼下に広がる砺波平野の散居村を眺めて、車まで戻ることに。

 

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何故かイオックスアローザ方向に降りてた。

で、僕の悪い癖が祟ったのか、道を間違えました。

車道をえっちらほっちら歩いて、降り口を間違えたことに気づいたのは1時間後。

今思うと、何故間違えたのか意味が分からない…。

 

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まぁ曇りも晴れて景色が楽しめたから良かったけど。

自他ともに認める方向音痴で、3時間車道とお付き合いをしなければならず、

帰ってきた頃にはヘトヘトでした。

岩場よりも疲れた。(^ ‿  ^)なんやねん。

 

医王山、思ったよりもボリュームがあって楽しかったです。

また秋の花のシーズンに是非立ち寄りたい。

今度は別の道でも歩こうかな。

 

それでは。