アウトドアと飯のあれ

神奈川→富山在住のアウトドアと飯と旅行のあーだこーだ

2019年10月30日 僧ヶ岳(烏帽子尾根登山道)

ウス。

富山はこの頃悪天候が続いていましたが、向こう1週間晴れ間も多く気持ち良い秋空。

今回は国内外から観光客が集まる黒部峡谷鉄道でおなじみ、

宇奈月温泉の上に聳える巨大な山容、僧ヶ岳へ行ってきました。

 

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今回のルート(GoogleEarth)。

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僧ヶ岳。標高1,855m北アルプス最北端に位置する。

日本海季節風の影響を受ける風衝地帯で、山頂付近に雄大な草原が広がり

後立山連峰の大展望所として名高い。

近隣地域の民俗・信仰に根差した山で、紅葉時期には一面錦秋の景観が楽しめる。

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歩き始めから樹林帯は開けている。夏でも涼しいのかな。

今回は宇奈月温泉郷から40分ほど登った先、

僧ヶ岳への最短コース 烏帽子尾根登山道からの出発。

 

今回登る僧ヶ岳は、雪絵で名が知られています。

(※溶けた跡の斜面が露出してできたものを『雪絵』、溶け残った雪が作る形を『雪形』と区別します。)

 

僧ヶ岳

春4月、山頂直下の雪面に僧の形が現れる。山名はここから。

これがまた農事の暦とされてきた。

                                                                           (『富山大百科事典」)

残雪期になり、斜面に僧が現れると県内メディアで良く取り上げられます。

 

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40分後、激急登。ここが一番キツい。

雪形の姉妹』で有名な人形山、『』の白馬岳等、

雪が見せる特徴が由来の山は各所に存在しますが、

僧ヶ岳ほどバリエーションに富む山はそう多くないのではないでしょうか。

 

春から夏にかけて、当山の雪絵はコロコロと形を変えていきます。

 

僧ヶ岳

土地の伝承によれば、この残雪模様は複雑多様で変化に富み、

は袋を担ぎを引いて現れるといい、その周辺にはも現れ、

それらが雪解けにつれ形を変えるという。

                                                                           (『富山県の地名」)

 初期に僧が現れると、傍に大入道と猫の絵、

それらが合わさって馬となり、近くには鶏や猪も現れるとされます。🐈🐓🐗

 

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宇奈月尾根との分岐。

古来よりこの雪絵は現新川地区の人々と密接に関わり、

黒部市では麦や稲作等の耕作の目安として、

水源流域が狭い魚津市の方では旱魃に備え、灌漑用水量の予測にされてきました。

 

こう書くと何だか古臭そうな話ですが、実に理屈が通った考え方です。

 

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分岐を進むとなだらかな道が続く。

例えば7月には僧が袋を抱えたような雪絵になるのですが、地元では

袋が大きいから小麦も稲も豊作だ』という言い伝えがあります。

袋が大きくなる、すなわちその分雪がより多く解けているということです。

 

フェーン現象などで気温が上昇した斜面は、多くの雪解け水を生み

それは流域河川に流れ出して、ひいては農地に回る水が多くなるという

実に分かりやすい自然暦であると言えます。

 

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ここさえ抜ければボーナスタイム。

他の例では、

僧の体が上下に分かれる(初期の僧は細い体形をしている)

キュウリの定植を控える(まだ雪解けよりも寒気が勝っているので、晩霜になるから)

鶏の尾が出たらスイカの二番肥

袋が急激に大きくなると大水。河川には近寄らない

お坊さん(僧)が居なくなったら子供も川で遊んでよい(雪解けが終わり、水量が落ち着くから)

 

スケジュールや河川の予報を見るのに、この山の雪絵はうってつけでした。

 

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僧ヶ岳山頂は右奥。

一説によると、こういった雪絵が農耕に役立つと知った物知り農家を参考に、

次第に他の人へと広まっていったともされています。

 

また優れた紅葉スポットでもありますが、これは例年10月頭が見頃。

今回は山頂で錦秋を楽しむには少し遅すぎたようです。林道はちょうど見頃でした。

 

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仏ヶ平。高山植物の宝庫。

と、長話をしていると草原地帯仏ヶ平に到着です。

夏はニッコウキスゲが楽しめると評判。

 

横一文字に走っているのはモリブデンの鉱道(山と高原地図で破線表記)

モリブデンは高熱を用いる部分に使われ、戦時中には主に兵器に用いられました。

戦時中に当山でモリブデンを産出しましたが、労苦に見合う品質ではなかったとされ

戦後間もなく閉山し、今でも当時の機械が捨て置かれています。

 

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宇奈月ダム

展望は開け、後立山連峰の面々が見えるらしい。

もっともこの天気でなければ。

 

昼から晴れる予報なので、時間をずらして来たのですが

生憎分厚い雲が頭の上で休憩中のようです。まいったまいった。

 

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12:00 僧ヶ岳山頂。

というわけでギリギリ2時間かからず僧ヶ岳登頂。

山頂には同定図も置いてあります。

隣の毛勝山は言うに及ばず、後立山のやべー奴不帰ノ嶮も見えるようです。

 

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越中駒ヶ岳、渋い格好良さ。

こちらは全国に18ある駒ヶ岳の1つ、越中駒ヶ岳

僧ヶ岳が大きすぎて富山中心地からはなかなか見られませんが、

この威風堂々たる山容から眺める後立山の面々は、駒ヶ岳随一の眺望とされています。

 

全国の駒ヶ岳の中で登山道開通が一番遅かったのがココ。

今の時期だと夜明けに登り始めて日暮れに降りてくるくらいになるので、

また来年、ニッコウキスゲの時期にでも来てみたいものです。

 

と、あまり天気がよろしくありませんでしたがここで昼食を。

今回からの新顔がこちら。

 

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全部合わせて諭吉が1人消滅。

はい、とうとう購入しました、クッカーとバーナーです。

 

PRIMUS(プリムス) P-153 ウルトラバーナー

PRIMUS(プリムス) P-153 ウルトラバーナー

 

バーナーで料理するのは正直慣れていません。

スカウトでも基本焚火でしたし。

 

自動着火装置がついてて、家だとすんなり付いたのですが

この標高か寒さのせいか、全く役立ちませんでした。

マッチ持ってるから別にいいんだけど、この標高でも使えなくなるのか、という印象。

ランニングコストをケチらずウインドマスター買えば良かったかな。

 

牛丼とわかめスープはうめえ。(・‿ ・)✊

これを機に山料理に凝りたいですね。

 

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少し日が出てきたけど、あっという間に白けていった。

その後40分くらい粘ってみようと座っていましたが

ますます霧濃くなり寒さも強まり、これは粘ってたら日没確定パターンに入ると感じて

下山開始。

 

また来た時にはその全貌をお届けできたらなと思います。

 

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これ僕は『山サンゴ』って言ってるけど正体が分からん。

今回のコースですが全体的になだらかなので非常におすすめです。

ここまで登りやすくて良い景色だと何度も来たくなりますね。

アクセスだけが非常に問題ですが…。

 

他に2つのルートがありますが、どちらも結構キツいらしいので

いつか行ける時に試してみようかなと思います。

 

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またね。

そして寒さで冷え切った体を癒す温泉が麓にあるのも魅力的。

ちゃっちゃと小走りで下山して、お風呂に入りに行きました。

 

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噴泉。

ということで宇奈月温泉郷へ。

冬にちょくちょく来ることはありますが、秋に来たのは初めてかも。

今がトロッコの真っ只中、人もそれなりに多くいますね。

 

僕はトロッコに乗ったことは子供のころに1度だけなので

今年はもう無理っぽいけど、来年行けたらなあと思います。

 

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こちらが今回の湯。

日帰り温泉はここ、総湯。たまに来るんじゃ。

真新しい温泉施設で、休憩室でニュースみながらダラダラしてたら

気づけば日が落ちそうになってました。

 

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温泉の起源が書いてあったよ。

新しい呉東の魅力を発見したような気分。

またこのあたりの山にお邪魔したいですね。その時はまたよろしく。

 

じゃあね!