過去山行。
珍しく山が決まらなかった土曜の未明に、とりあえず茶漬けを掻き込んでると
ふと「あ、あの山がいいな」と浮かんだのが錫杖岳。
そう言えば2年間ご無沙汰だし、ちょうど紅葉の時期に行きたかった。
少し遅めだけど大丈夫かな?
上の方は終わりを迎えているが、
下界は紅葉の見頃を迎えており秋晴れとのコントラストが眩い。
シーズンでも中尾高原口駐車場はガラ空きなので争奪戦とは無縁なのもよい。
クリヤ谷まで落葉を散らす小気味が良い登り。
2年前は足取りが重かったが、今回は最近お気に入りのF.K.T.。
軽くて蒸れず岩も掴める良い靴だ。来季に向けてもう一足買うか。
クリヤ谷は飛び越えるが、意外と滑る。
もっと暑ければ涼みたいがこの時期は素足の渡渉はご勘弁。
先の道も刈り払いされて、朝露を浴びることもなかった。感謝感激。
2年ぶりの前衛フェースを見て気が引き締まる。
相変わらず惚れ惚れする岩壁だ。本日もよろしくお願いします。
別にこの壁を登るわけではないんだけど。
錫杖沢を登る。
基本沢を詰めれば良いし、難しい所は巻く。
沢から離れないことを念頭に置いておけば、クライマー道に引っ張られることもないだろう。
適宜沢水で潤しながら歩けば、30分程で岩屋に到着。
雨も気にならない一等地にはテント。本日はどちらへ?
ガレ沢を詰めると分岐するが、前回同様右。
以前嫌らしいと思った箇所はスルー出来るようになっていた。
岩壁を見れば、中央に取りついている人が見える。
喜ばしいクライミング日和だ。しかし僕はぼっちだしクライミングは出来ない。
このまま沢を詰めて行くと本峰から外れるので、1本隣の沢に移る。
結局これだったら岩屋の分岐を左に行く方がマシっぽく見えるけど…
あそこの出だしが面倒なので一長一短。リスクマネジメント大事。
コル直下が2年前よりも崩壊しているように感じた。
顔まで来る笹を分けて岩峰を縫い伝う。
左斜面は笠谷へと落ちていく。原生的で好みの森林を歩いてみたい。
20分ほどすれば特徴的な岩峰が見えてくる。
ザレた登りでザイルを出したくなる場所。ちなみにあれは目指すピークじゃないよ。
ここを過ぎるとこの日唯一の登山者とすれ違った。
出発から3時間半で到着。雲も出てきたが景色は抜群だ。
穂高連峰はここから眺めるのが特に好きだ。
手頃に西穂から槍まで余すことなく一望出来る場所は、意外と出てこない。
笠ヶ岳だと遠すぎるし、蝶ヶ岳だと明神岳が被る。前穂ならワンチャン見えるのかな。
また、焼岳だけでなく麓まで一望できるのも特筆すべきだと思う。
望遠鏡で覗けば、ひがくの湯から僕の姿が見えるだろうか。
ちなみに右から焼岳へ向かって延びていく尾根が、今冬の目的の1つ岩坪山北尾根だ。
焼岳は冬の体力作りに持ってこいなのだが、2駆は門前払いで下から残業1時間。
往復2時間の車道歩きは憂鬱と言わざるをえない。
そういや大木場ノ辻も行けてない山の1つだ。
トレーニングと豪語しておきながら、結局1月はどこにも行かず仕舞いで終えそうだ。
週明けで豪雪が降ったが、破断面に乗っているだろうし流石に二の足を踏む。
ランニングもこの雪ではね。屋内ランニング施設もあるにはあるけど性に合わない。
幸いスキーを買ったので、その練習に専念できると割り切った。
ただスキー筋と登山筋は違うので、月に2度くらい山へ登る機会があれば嬉しい。
早めの昼食を口にしていると、笠の頭に雲がかかってくる。
この雲なら崩れる気配はないだろうが、そろそろお暇しよう。
しかし11月の穂高近辺なのに、ベルグラすら見当たらなかったのは
この年の秋の異常な暑さに起因するだろう。
結局12月も大しては降らず、悶々とする日々を過ごしていた。
先に述べたが1月下旬から強烈な寒波で全国各地で大雪となった。
富山も降りはしたが量自体は大したものでない。だが凍ったのが良くない。
早く溶けてくれないと毎朝が地獄絵図なのだ。
願わくば山にだけ雪があるような都合の良い冬があってくれれば良い。
アクセスで心が折られると、自分のバイタリティの無さに後々から愕然とする。
登山口まで除雪、と贅沢は言わないのでせめて県内主要道路くらいは融雪装置を完備して欲しいと、
錫杖の山神様と県知事へ手前勝手な祈願をして駄文を締めたいと思う。
15:30くらいに下山してひがくの湯に入って帰ったよ。
おわり。