八ヶ岳の黒百合ヒュッテはアクセスの良さと通年営業で、
冬でも非常に人気が高い山小屋です。
稀に見る大雪の昨冬、雪を用いたビバーク技術を向上させたいと
スノーマウントを作って泊まってきました。
下手な豪雪地帯よりスリリング…。
渋の湯に駐車して黒百合ヒュッテまで1時間半。
昼頃に到着して指定料金を払う。
今から作るのはスノーマウント、要はかまくらのこと。
海外ではキンジー(Quinzhee)とも呼ぶ。
厳寒や悪天の際、快眠を求めたいならテントよりも断然スノーシェルターだ。
格段に温かく風に強い。外が地獄でも中は天国。
しかし最大のネックは「疲れる」こと。
雪洞は場所が制限される上に重労働。
イグルーも意外と雪を選び、1人で構築するのはなかなかコツが要る。
そんな中、パウダーでも湿雪でも(比較的)雪を選ばず、
ソロでもそこまで苦労をしないシェルターがスノーマウントだ。
マウントの直径は寝床が2m、壁の厚みが60cmと仮定して、3.2m。
あまり小さく作りすぎない方が結果的に楽だと思う。
3.6mのゾンデがあればすぐに円を描ける。
中心にツェルトやフライを被せたザックを置き、ひたすらに雪を積んでいく。
今回は高さ2mとした。
積んだ雪を叩き締め固めて15分ほど放置。(焼結)
中のザックを掘り出し、後は雪洞と同じようにスペースを掘り出していく。
個人的に雪洞で一番辛い「内部の掘り始め」をスッ飛ばせるのが長所だ。
開始から1時間20分ほどで構築完了。暖かな家が完成した。
勿論デメリットはある。
そもそも風が強い場所では構築が難しい。
気温が高い4月頃は、雪洞を掘った方が楽なパターンもあるだろう。
シャーベットで作れるのか、最後まで試したことはない。
樹林帯が多く防風しやすい八ヶ岳を何泊もするような、
つまり1~2月の八ヶ岳全山縦走時に用いられるのではないか。
まぁ、実際は快晴続きと時間の足りなさで使わなかった。
グースカ爆睡した翌日、天狗岳に行こうと出立したが風が強い。
結局天狗の頂に立ったのは、3度目に訪れた時。
隣で張っていたD大山岳部が先に見えたが、当初の目的は達成したので
さっさと引き返した。
黒百合ヒュッテで荷物を片して帰る。
勿論スノーマウントは壊しておこう。サイトの邪魔になる。
マルチデイでは装備を切り詰めることの重要性を感じた年末年始、
大して暖かくもなく嵩張るテントは寧ろ不要ではないか、という気さえした。
今はまだ実践技術が足りないが、いつかはツェルトだけに絞って
複数日、山に入りより遠く・高く足を伸ばしていきたい。
あ、降りてきたら晴れるいつものやつね。
車にこんもり積もった雪をどかして、誰もまだいない渋の湯を満喫して帰った。
雪は時に道にもなり、身を守る家にもなる。
雪との付き合い方の引き出しを、もっと増やしていきたい。
今日はスキーの練習、と思ったが雨だよド畜生。
じゃあね。