アウトドアと飯のあれ

神奈川→富山在住のアウトドアと飯と旅行のあーだこーだ

2022年10月29~30日 白馬鑓温泉~白馬岳 (2/2)

前回の続き。

 

4:30 起床。

テントは朝霜で凍りついていた。思ったより寒い。

温泉に入りたい気分だが一生出られなくなる。体を叩き起こして5:27発。

 

のんびり登ろう。

稜線まで雪は無い。

暫し無心で登り振り返れば、広がる雲海が押し寄せてきた。

 

サンライズ

パステルオレンジが空を染め始め、吉日の予感を告げる。

 

天狗方面。稜線は近いようで遠い。

稜線までは緩急のついた斜面を登り、全容が掴み辛い。

幾つかの登りを経て稜線に這い出るまでは意外と時間がかかった。

 

とんがってないけど鑓ヶ岳。

穏やかな東面とは一変して、西風が強く吹き付ける。

流石に薄着は寒いのでビレイパーカーを羽織りアイゼンを履く。

新雪が夏道に積もり、絶巓までの一条の線を引く。疲れも吹き飛ぶようだ。

 

あっちにはとんがってる槍ヶ岳

後背には凛凛しき槍ヶ岳。果ての先まで稜線を伸ばしている。

こちら側から望むのは鹿島槍の時以来。

 

まさに一本槍という風格。

 

こっちには剱岳もあるぞ!

荒ぶ強風は直下で止み、叩かれた雪面はアイゼンの嚙みも良い。

8:00に山頂到着。今朝は誰も居ない。僕だけの景色だ。

 

白馬三山縦走路。めっちゃええやん…。

鑓の頂からはこれから歩く縦走路が眼前に広がる。

手前が杓子岳、奥が山域の盟主白馬岳だ。

 

猛る東面の岩稜、白雪纏う西面の対比。

これが見れただけでも苦労の甲斐がある。

 

こういう構図が大好物。

直下は若干際どい下り。こちらの雪は叩かれておらず薄く乗っている。

幸い道幅はあるので、山側に寄って歩き続ける。

 

それにしてもいい雲海だ。

風紋の波打ち際に広がる大海。

このビーチで朝日を眺めれば、下らない悩みなど流れていくだろう。

 

新雪は吹き溜まりで膝上くらい。

杓子岳は山腹を巻いた。

頂は後々の山行のために残す。一度に食べては勿体ない。

たまに膝上まで呑まれるが、それもまた楽しみの1つだ。

 

杓子岳たまらん。

その後も一人だけの贅沢な時間を闊歩して、頂上宿舎の上へ。

杓子の見事な大岩壁を背負い、小休憩して最後の登りだ。

 

11:18 白馬岳。

正午前に到達。

この時間になると日帰りの登山者も幾人か訪れてきた。

 

ふつくしい…。

山荘の影で休憩していると、白靄が空へ吹き上げてきた。

まるでヒマラヤやアンデスに迷い込んだようで、

この年特に印象に残った風景の1つとなった。

 

大雪渓は虚無。めちゃ薄なのでおっかなびっくり。

上部は既に雪が無く、大雪渓も靄の中。

降りが判然とせず変な所を滑り降りる。

当然ながら一番雪が無い時期で、沢際から夏道に取り付いて振り返ると、

雪渓の薄さに冷や汗が流れた。

 

15:00 ようやく到着。

冬靴での夏道下りで、左小指が当たって足取りが重い。

昼日中にようやっと登山口に到着。

近場の温泉もあったが、馴染みの姫川温泉に入って20:00頃家に到着した。

 

おわり。