また過去山行。
2年前の唐松岳です。
通年混雑する後立山の峰々の中でも、
特に賑わう筆頭は唐松岳だろう。
明朝のリフト行列に息が詰まりそうだが、トップに出れば素晴らしい眺望が待つ。
北信のダイナミックスクリーンを前にして、
滑りを楽しむ人で溢れる。冬の唐松岳はスノーレジャーの一大スポットだ。
不帰の白壁とブルーバック、このような景色を目にして日帰りは勿体無い。
この日は雪洞泊を人生で初めて行った。
八方池を越えて夏道が西に屈曲するCo2150m斜面を掘り進める。
安定層が出るまで下を掘ったら、寝床を形成していく。
これが非常に苦しい。最初のとっかかりが出るまで、思うように進まない。
全く、土中の蛹の気分。ようやく僅かな寝室が纏まるまで3時間近く。
加えてすこぶる圧迫感が酷く、夜は帰って寝る夢まで見る始末だった。
まぁ、とりあえず一段落着いたので散歩。
明日登る頂は吹雪の中。日帰り客も往路を返し粗方降りて来ている。
風紋刻まれた白雪が、この山の荒れ具合を語るようで。
次第に風も止み、静寂へと帰る。
放射冷却も凄まじそうだが、雪の中は厚着では汗をかくくらいだ。
さて、翌日は未明発。
ダウンを着込んでスローペース、山荘の手前で夜が明ける。
未到の五龍岳は薄明に照らされ…。いずれこの尾根も繋ぎたい。
四阿山の頭が焼け、昇陽の刻を迎える。大きく裾野を構える浅間山が美しい。
灼々と火が点くように周りの山が染まっていく。
白馬の雪面の美しさの前では、僕の陳腐な言回しは無粋でしかない。
後々初冬に歩いたが、何故食わず嫌いしていたのか悔いる山だった。
心行くまでこの景色を目に焼付けた。
夜が白み朝を迎えるまで、誰もいない山頂にて。
いずれまた来よう。その思いを胸に帰路へ。
雪洞に戻り荷物を片していると始発組が来る頃合いだ。
下りリフトに飛乗り、コーラの封を切って余韻に浸る。
喧噪のスキー場を後にし、昼前には車へ。
この辺りは家から程近いわけでもないので年1程度に留まっているが
人を惹きつける魅力に溢れている。
サマーシーズンにも歩いてみたい。テン場高いから泊りは…うーん。