沢始めにしよう。
ゆるい沢なら良い。頂へ詰める沢ならなお良いな。
先週、花の盛りを迎えたと聞いていた。
そうと決まれば万波川大坂谷から白木峰へ。
そう言えば去年行ってなかったんだよね。
早朝、万波に到着。
ダートを暫し歩き入渓点。盆地状で冷気が溜まるのか、靄がかかって寒い。
左岸に記載がある道はとうに森へ還ったのだろう。
沢登りと言うより、沢歩き。
ブナの森の中を滔々と流れる渓水、その美しさを愛で進む。
大きな淵を越すと、再び樹々豊かな森の中を歩くように。
さて、ここの先住民は遊んでくれるだろうか。
枝が被りキャスティングが難しく、そうでない場所は悟られてしまう。
快適ではないが、それでも斑が強く出た9寸弱の良型とご挨拶。
不思議とこの後はとんと魚が居なくなり、源頭の雰囲気が増す。
小さな滝を越え、笹藪が覆うようになるので低頭しながら進む。
幸い酷い藪漕ぎもせずに見慣れた道へ飛び出した。
思ったよりも長く、酷暑に参る。
昼飯を食う気も起きず、浮島の池で休憩して下ることに。
幸い、詰めの景色が抜群なのは救い。
浮島の池は鏡のよう。思ったよりも雲が湧き、槍の穂先を隠した。
遮るものがない中、僅かな撫でる風がこれほどありがたいとは。
花を眺める余裕すら持てず早足で下ったため、じっくり眺められなかったが
橙と白の大輪が咲き誇るこの山は、やはりいつ来ても良い。
辿った谷を眼下に落として。
小白木峰まで細かいアップダウンはあるが概ね木陰で幾分かマシ。
気分転換に曲を聴き、小走りで降りれば朝通った場所へ。
車まで戻っている最中、5m先からクマが出てきた。
流石に背筋が凍ったが、あちらも面倒ごとは嫌だったのだろう。逃げてくれた。
帰りに嫌な汗をかいたが無事に帰れて何より。
朝の寒さを帳消しにする猛暑だったが、なかなか滋味深い森と渓歩きを楽しめた。
この辺来た事なかったしまた訪れよう。
おわり。