前回の続き。
夜明け頃に荷を片して出発。
まずはルートから少し逸れるが西伊豆で是非寄りたい名所、黄金崎(こがねざき)だ。

風化と海蝕を経た岩壁が馬のように見える、通称「馬ロック」。
穏やかな入江が続く西伊豆海岸線で、殊更男性的な荒々しい姿を見せる。

馬の背を伝いウッドデッキより次の港、宇久須(うぐす)を遠望してみよう。

伊豆は海山のあらゆる風景の画廊であるとまたいうことも出来る。
伊豆半島全体が一つの大きい公園である。
一つの大きい遊歩場である。
つまり、伊豆半島のいたるところに自然の恵みがあり、美しさの変化がある。
(川端康成『伊豆序説』)

澄み渡る凪の海の美しいこと。柔らかく暖かな秋の伊豆の空気を浴びると、
私のささくれ立つ荒縄のような根性まで綺麗に伸びていくようだ。

伊豆特産の干物は土産に持ち帰りたいが、道半ば。
幾度かトンネルを経て廻り崎への案内に従う。

多少荒れているが、陽も差しなかなか滋味深い道を歩むと
長閑な朝に訪れた無粋な旅人に驚き、草葉が揺れ甲高い声が響く。

やがて目立たないピークの大早山(だいかんやま)を越えると間もなく舗装に出合う。

この遊歩道を歩いた先が、カップルが繁く訪れる恋人岬。
朝早く誰も居ない隙を突いて恐る恐る見物へ行こう。

早朝で良かった、昼間だったら爆発四散してたかもしれない。
駿河湾へ張り出す岬の眺めは素晴らしい。
生憎霞の奥に坐すであろう富士の高嶺を望むことは叶わなかったが。

さて、西伊豆歩道はここから海岸線を歩み土肥(とい)まで約3時間。意外と長丁場だ。
いずれ再訪した際に歩いてみることにして
当初の予定通り、土肥へ自転車で移動することにした。

恋人岬では電動アシスト自転車をお借りできる。
嬉しいことに、この自転車は土肥の観光事務所で返却できるのだ。
(3時間1000円 1日2000円、+デポジット1000円)

当日レンタル受付は可能だが
前以て借りる旨を電話で伝えておいた方がベター。
看板猫ちゃんを撫でながら待っていたので退屈はしない。

下り基調の7kmなので楽々スイスイ、道中のスポットを寄って小一時間。
ちょうど半分近く歩いてきた自分へのご褒美だ。

歩道が狭く荒れているので車に注意しながら走ろう。

伊豆には海の景観の凡そ全てが詰まっている。
殊に女性的な柔かさのある海と温泉で人を惹き付けるのが、向かう土肥だ。

フレッシュな雰囲気と鉱山で栄えた古くからの街並みを抱え、
西伊豆でも殊に賑やかな港町。

軽快にペダルを回し時計を見れば、ちょうど10時を指す。
稼いだ時間を用いて観光と昼食に勤しもう。
次回へ続く。