前回の続き。
土肥(とい)の海岸沿いを走ると次第に賑やかさを増す。
最近建った町の新しいシンボルが見えてきた。

平時は観光・非常時は人々を波から守る複合防災施設『テラッセオレンジトイ』。
西伊豆各所への起点となる土肥を盛り立てる新たなシンボルタワーだ。

「観光客でも知っている防災施設」というコンセプトは面白い。
いざという時に避難する場所なんて、観光時には九割九分調べないもの。

食事処でお昼にしよう。
自分で具材を選んで盛り付けていく、ちょっと変わった海鮮丼だ。
(左上からそでいか・ホッキ貝・しらす・鯛・いくら)
んん。こりゃ美味いに決まってるよね。

地酒に興味をそそられるが我慢我慢…。
面白そうなイベントも定期的に催されているようだ。

銭湯は昼過ぎにならないと入れないし、行程はまだまだ。
足湯で疲れを癒してトレイルへ戻ろう。

茹だる黒舗装より緑の庇が断然好みだ。
大きな蜘蛛が罠を広げているので巻き取りながら進む。

小土肥(おどい)からはいつ頃為されたのだろう、丁寧な舗装を歩む。
残された蹄跡を暫し追い、石碑のある峠。

一服。柔かな日差しが心地良い。
下りは落葉の堆積が目立つがなかなかオススメ。是非明るい時間に歩こう。

足元には割れた碍子、非常に歩きやすい線形も見えて
この小径を人々が行き来していた頃を思わせる。
山仕事が盛んだった頃、この静かな森にも樵の音が響いていただろうか。

繁茂するシダを蹴払い降り、少し歩けば舟山。
蒼溟を掴む伊豆の村々にあってとりわけ山谷に挟まれ雛壇が立ち並ぶ集落には
ここで長く暮らしているだろう猫の家族、欠伸をひとつ。

声聞こえず久しかろう分校を過ぎ、再四舗装を踏んで旧道へと。
森の中で草葉散らす自分の足音だけ響く。
地蔵に手を合せて本日最後の下りだ。

明治時代の地図を見てみよう。
この道がかつての本道と判る。
荒浪と大風を避け、窪を上下し、人々は土肥と戸田(へだ)を行き交ったのだ。

暮らしの名残、仄暗い山中に灯が燈っていた往時を偲ぶ。
その頃の旅人も伊豆の暖かさに心奪われていたかもしれない。

数えれば朝から30km。15時過ぎに本日の目的地 戸田の町並を一望した。
流石に疲れたが待ち望んだご褒美はもうすぐだ。
いざ道の駅へ。

戸田の湯で二日間の疲れをたっぷり癒す。生き返るね。
適当なところを幕として暗くなる頃にご当地の居酒屋へ。
自炊も良いが、これもまた旅の楽しみだ。

居酒屋 縁さんで旨い料理と酒で一杯…。
家の近くに欲しくなる程の居心地の良さに包まれて。
ほろ酔いの中、小雨降る前に寝床へ戻って爆睡。
次回へ続く。