ウス。
そろそろ富山でも納涼花火が打ち上り始める頃です。
一番早い日程で明日、入善町の方で花火大会があるようですね。
雨が降らなければ良いのですが。
今日は文月の昼日中、大岩山 日石寺(にっせきじ)に行ってきた話です。
大岩山 日石寺
大岩山は古くから不動明王に帰依する祈願所として北陸一の霊場である。
山内を流れる大岩川は、奇石怪岩重畳、いたるところに瀧を懸け、
洞をうがち、目には新緑重蒼たる渓谷の美を、
耳には滝と水、木魚、鐘の音が、六根清浄の和讃に和して、
静かな調べとなって心を和げる。
(『上市町誌』)
本尊は凝灰岩の巨岩に彫り出して造られた仏像、いわゆる摩崖仏の不動明王像で、
平安から鎌倉にかけて多くの摩崖仏が造られましたが、
国内で最も古いものの1つであり、国指定重要文化財に指定されています。
こう書くと何だか退屈そうですが、不動明王と言えば登山者が一度は登りたい
寺院が築かれる前は立山信仰の行場として興った経緯もあって
山岳修験の場として僧侶に広まり、
室町後期には、麓に僧侶が暮らす坊社が60もあるほどの隆盛を見せました。
天正年間(1573~92)に上杉謙信が越中攻めを行った際に大きな被害を被り、
多くの建物が全焼しましたが、後年には北信越・中部地方における一大霊場として
名を馳せることになります。
県内外でも信仰が盛んで、つい先日滝開きが行われた様子が放送されてました。
誰でも気軽に滝行体験ができるとのことなので、
立山に今年登ろうとする方は、験担ぎでもいかがでしょうか。
境内から山内を散策すると意外に広く、信仰抜きにしても楽しめる。
路端にはユキノシタがぽつぽつと咲いてました。
散々と小難しい話をしましたが、参拝目的で来られる方というよりも
県内から訪れる方の多くは ここの『ある』名物を堪能しにくることは有名。
そう、素麺です。
「は?寺でわざわざ素麺?」となりますよね。
一説によると戦国時代、各地で起きた戦争で人の往来が盛んであった折、
播磨国(兵庫県)からここへ素麺が渡ってきたと言われています。
乾物で持ち運びに優れ、食べやすく、調理も簡単という点から
お坊さんが食べる精進料理として重宝されたとのこと。
その後大衆に広く知られるようになった明治・昭和にかけて、
車のない頃に徒歩で来た参拝客へ、冷たい素麺が振舞われました。
時は流れ平成・令和。大岩山の素麺と言えばこの地方では有名なもので、
この頃になれば、納涼を求めて県内外から数多く訪れるスポット。
子供だった頃、遠足で食べた素麺がとても格別だったというお爺さん談。
上市町は仏閣や観光スポットは多くありませんが、黒部市・立山町が近いので、
その二大観光地の中継地点として寄ってみるのも面白いですよ。
風が入る素朴な店内で食べるぶっかけ素麺。
独特のコシがあって、自分の家で作る素麺とはまた違う味わいがあります。
んまいですよ。
森の中や山の上で食べるご飯も格別ですが、そればかりだといつか飽きてしまいます。
たまには古い風を感じながら、地元の素朴な味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
書いてたらまた素麺食いたくなってきたわ。今度山で作ろう。
ばいばい。