ウス。
富山にあって、富山にない。
岐阜近くに住む僕にとって、後立山連峰はそんなところです。
何しろ新潟を回って長野に行かなければ、日帰りはほぼほぼ無理難題。
平湯・松本よりも遠いので、あまり馴染みがないのです。
しかし食べないのにイヤイヤ言う大人になってはいけません。好き嫌い、ダメ絶対。
大谷原から標高2000mを只管登る、赤岩尾根の取付きへまず1時間の林道歩き。
1:30に大谷原を出発し、夜闇黙々と進む。
G5を履いていましたが、ランシューで行って終点でデポするのが無難。
堰堤の通路を潜って、赤岩尾根取付きに到着。
急登で名高い尾根道は、なかなかハイペースで上がれました。
早月よりかはなんぼかマシって感じです。
主稜線合流直下の雪道トラバースは噂通りのシビア。
夜明け前なのでよく締まり、アイゼンが頼もしかったですが、帰りは少し緩かった。
冷池山荘から先で夜が白み始めて、ショータイムの始まり。
爺ヶ岳はこの一瞬だけ頭が晴れてくれた。
この日、鹿島槍は僕一人だけ。爺には誰かしら居た様ですが。
あ、ちなみに冷池山荘には冬季避難室があるのですが、
今年はやってません。鉄板打ち付けられてました。
残雪期に爺ヶ岳東尾根とかやる人は気を付けましょう。
山荘からなだらかな道、と聞いてたのになかなか着かないぞ!
天気も真っ白白で何も見えやしません。
黙々と雪稜歩きを楽しんでいたら、段々と雲が取れ始めました。
断続的に風速は15m/sを下回るくらい。ハードシェル+フリースで熱い。
誰もいない雪稜、自分の足音と風切り音だけ鳴る、目指すは青空に包まれたピーク…。
これ以上何を望もうかという、冬山の醍醐味ですね。
雲間から姿を現した剱岳。
真中に白い丸丸したところ、あれが多分長次郎谷。
北方稜線・毛勝三山。
輝くブロッケン。これは神が下りてきてますわ。南無阿弥陀仏。
槍穂高を始め白銀の楽園が眼前に広がる。
たまらねぇ…。
そして密かに見てみたいと思っていた牛首尾根。
スキーのない登山マンの僕にとっては、黒部横断と言えばこれ。
流石にまだまだスキルが足りませんが、いつか行きたいなぁ…。
厳冬期はやめてくださいしんでしまいます。
なんだかんだ駐車場から6時間もかかってしまいました。
稜線出てからが長かった…。
鹿島槍は双耳峰。北峰に行こうと画策してましたがその元気も沸かず。
しばし休憩して思いに耽る。
鹿島槍はその特徴的な山容、名前の響きがとても好きな山。
剱立山からよく見えて、市街地からは見えない。その特別感。
後立山で一番好きな山だから、後立山の最初はここにしたかった。
今回その思いも遂げて満足でした。
帰りのテン場から種池山荘を眺めてひと休憩。
9:00過ぎにテン場で遅めの朝食。いつものラーメンを食する。
水が足りなかったので雪を解かす。これが出来るのも冬の強みですね。
腹を満たして来た道を下り抜ける。
只管下り続けて、取付きまで戻ってきた。
見頃の紅葉を眼に楽しみつつ、長い林道を歩いて駐車場に戻ったのが13:29。
12時間の長帳場、久々に足にキました。
やっぱG5で林道はキツいな…。
最近あまりランが出来ていませんが、何とか初冬の鹿島槍へ行けてよかった。
街にも紅葉が下りてきましたが山は白雪の装い。
11月、本格的に雪で閉ざされる前に色んな所に行きたいな。
この1年でどれだけ通ったのか…安心安全安房峠。
来週はどこに行こうかな。それでは。