アウトドアと飯のあれ

神奈川→富山在住のアウトドアと飯と旅行のあーだこーだ

2023年12月30日~2024年1月3日 熊野古道 小辺路 (2/4)

前回の続き。

 

4:00頃まで吹き続けた暴風雨ははた、と止んでいた。

今日は昼中からにわか雨らしい。一通りビニール袋にブチ込んで6:00発。

 

尾根に上がる。真暗闇だが踏み跡はちゃんとある。

水捌けが良いのだろう、豪雨後と思えぬほど土は乾いている。

前日の残雪や氷は殆ど溶けて流されたようだ。

 

水ヶ元茶屋跡。立派な石積が今も残る。

夜が白む頃、茶屋跡に着く。

大股から歩き詰めた人々にとって、この茶屋はまさにオアシスだったろう。

 

アップダウンはないがとにかく標高が落ちない水平道の始まり。

ここから暫し苦しい水平道とのお付き合い。

小辺路は専ら高野山側から辿られるが、三浦側から来た場合更に苦しそうだ。

 

たまらんですよこれ。

しかし樹林帯で見所が薄いかと言えば決してそんなことはない。

年の瀬の白海に浮かぶ群島を眺め、本年の締め括りがここで良かったと再認識。

 

本年最後の朝も無事にお迎え。

ようやくリズミカルに標高を落とせるようになる頃、

霧を突き破って眼前に朝日が届けられる。

 

下りに少し石畳。ちょい滑りやすい。

スリップに気を配りながら石畳を降りる。

丁度出発から3時間が経つ頃に車道と合流した。

 

9:00 登山口。すべて霧の中。

深い霧が向かう先を翳らす。

年の瀬からか殊更静かな空気が漂う集落、大きく腰を落として暫し休憩。

 

三浦峠への橋。近くでコーラを補給。

自販機で燃料補給をし、三浦峠へと750mの登り返し。

 

三浦集落。「Japan」って感じだ。

日本の心に根差したような、苔生す小径を踏み締めて。

喧騒遠く外れた人家、深き山谷に小鳥の声が響く。

 

ワクワクしますな。

杉の九十九折は仕事径の名残、幾百年の跫音が伝わるようだ。

 

霧霞む巨樹を仰ぎ。

三浦峠には護摩壇山から稜線伝いに車道が延びている。

国内屈指の多雨地帯である和歌山・奈良県境。

豪雨災害が多く、且つ降雪は少ない当地においては合理的なのだろう。

 

麓から結構登ってきたの。

取り留めのない思案で喉の渇きを紛らわせる。

殆ど涸れかけていたが、道中一杯の水が染み渡る。

 

11:12 三浦峠。長かったぁ。

2時間が経つ頃、峠の東屋で小休憩。

トイレも併設されるが吹き曝しで肌寒い。

 

さて、14:00のバスには問題なく間に合うし、

天気も思ったより保つ。宿まで9km歩いても明るいうちに着きそうだ。

 

素敵なお召し物ですね。

明るいうちには着く旨を宿に伝え、ご機嫌な森を駆け下りる。

おっと、道中の史跡に触れるのもお忘れなく。

 

土の道は健康に良いと古事記にもそう書かれている。

今は昔、この峠道には行きがけに泊まった旅人を罠に嵌めて

命と金品を奪う山賊が住み着いていたそうだ。あっ、それ良くゲームで見るやつ!

 

昔は盗賊が住んでたらしい。ひょえー。

そこの物陰から「ここに来るべきじゃなかったな」とか聞こえてこないか。

柔らかな土の径を小走りで落とすこと1時間半。

 

唐突に民家跡の前に出た。昔はここでお茶とか出してたんかな。

やがて人工物が目立つようになれば、矢倉集落へ。

今も暮らす老齢の方がいらっしゃるようで、最近テレビ番組で取り上げられていた。

 

13:23 西中。結構ギリギリだったな。

いくらもせず降れば国道425号線へ合流する。

バスまで30分以上あるし余力もあるので、このまま車道歩きを続ける。

 

国道425号、通称「死にGO」は超有名な酷道

悪路で有名な国道、所謂「酷道」であり、

非常に蛇行した線形と見通しの悪さが徒歩でも伝わってくる。

2km先の永井で食料を調達していると、ガラス戸を纏まった雨が叩きつけた。

 

2kmくらい歩いてから大雨降ってきたのでバスに飛び乗る。

ここまで酷く降ると撮影もできない。

さて、予報を見ると2時間は降り続きそうだ。R425はいずれ車で来る。

ここは割り切ってバスを待ち、またの機会に楽しもうじゃないか。

 

今日のお宿 十津川温泉 太陽の湯。

歩くには少々憂鬱な程の大雨を静かな車内で眺めること30分。

気が付けば十津川温泉へ到着。宿のある蕨尾で下車する。

 

あの島絶対宝箱とかあるね。

風呂は激熱だが貸し切りタイプなので気兼ねがない。

3つの湯船がありこの日は2つを頂き、年末の蕎麦を食した。

 

明日はいよいよ目的地だが、どうも初日の出は拝めそうにない天気らしい。

少しのんびりしても罰は当たらないだろうと、20:00に就寝。

 

次回へ続く。