前回の続き。
土(ど)からは開けた山道を走る。
日が照り車に籠った熱気で蒸し蒸しする。
根上(ねのうえ)集落。
現在の世帯数3戸、人口4名。(富山市H29住民登録人口)
根上(ねのうえ)
古くは『禰の上』とも書いた。
(『角川日本地名大辞典』)
禰とは「親の御霊が眠る廟」の意。
何の因果か、この下に墓がいくつか点在している。
集落内の熊野神社。
ここも含めて近隣の集落には3つの熊野神社が鎮座している。
昭和50年の国土地理院地図を見る限り、神社から更に山道が走っており、
その先に奥社なのか、もう1つの神社の記述がある。
根上は他の集落と比べても高台にあり、陽光を浴びる棚田は
根上部落牧の谷にある。
その附近に古の穴居民族の居所と思われる窟があり、
蝙蝠の類が多数棲息している。
洞窟内にある骨様の片々はマンモス象の遺物ともいわれている。
(『大沢野町誌 上巻』)
牧の谷の位置がイマイチ不明だが、集落最上部の沢がその辺りなのか。
尤も、蝙蝠の住処にお邪魔するのは嫌だ。
蝙蝠はどうもグロテスクで苦手だ。
15年前に部屋の窓を開け放していたら入ってきて、追い出すのに苦労した思い出がある。
道路に寝そべっていた子猫は、車が近づくと草葉の陰へ隠れて行った。
市街地から遠い黒瀬谷地区の最奥にあって、殊更静かな集落だった。