『楓蔦黄(もみじつたきばむ)』です。寒さが徐々に増してきました。
最近は足が冷えて、電気毛布がないと寝るに寝られません。
今年は紅葉が遅い為、県内奥地は今が丁度錦秋の装いを見せている頃でしょうか。
今回は剱岳の眼前に聳えるクズバ山で、彼の雄姿を望む山行です。
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クズバ山。標高1,876m。剱岳衛星峰の一角。
通年登山対象の中で最も剱岳の近くに鎮座している。
当山と剱岳・奥大日岳を結ぶとほぼ正三角形となる位置関係にあり、
両岳への展望が非常に良いことで知られる山。
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クズバ山馬場島手前の小又川出合の橋から見ると三角錐状に聳えている。
この形がクズの葉に似ているので、クズバと言われるようになった。
(『富山県山名録』)
また長い間『クズバの頭(ずこ)』と言われたこともあり、
昔の人々の間では、クズバは小又川から頂上へ突き上げるガレた沢の出合付近のこと。
『崩場』『屑場』の意でしょうか。
早朝、剱岳早月尾根の玄関口 馬場島へ向かいます。
何気に来るのは初めて。手前の伊折までは来たことがあるんですけどね。
意外と伊折からも距離があります。
馬場島から更に奥に走らせた東小糸谷駐車場が今回の出発地点。
谷に沿った登山道を歩きます。3回渡渉するよ。
シーズン中はお手製の橋が架かっていますが、
この日が最終日だったのか、帰りに通った時には取り外されてました。
渡渉には問題はないけれど、増水時には注意しましょう。
今回のクズバ山は、県内でもあまり名が知られた山ではありません。
10年近く前まで登山道も無く、せいぜい積雪期に西大谷尾根を用いて
奥大日岳へ到達する際の通過点に過ぎないピークでしたが
ここ最近、夏道が整備されて徐々に人気が高まってきています。
この山の特徴はその急峻さにあり。
「コンパクトな早月尾根」「荒島岳の『もちが壁』を長大にした」と表現されます。
核心部では僅か1km弱で、標高を約500m上り詰めることになり
核心部の平均斜度は26°を超え、東小糸谷から山頂までで20.9°。
北アルプス三大急登と呼ばれる烏帽子岳『ブナ立尾根』の平均斜度が21.6°。
燕岳『合戦尾根』が17.5°、早月尾根が17.2°ですから、
まさしくコンパクトな三大急登です。
上市町は一時、このクズバ山から続く西大谷尾根・奥大日岳到達ルートを
整備する構想を立てていましたが、早月尾根に匹敵するスケールの大きさから
1300m付近まで少し階段を付けた程度で頓挫しています。
もし実現していたらますます人気を博していたことでしょう。
だからこそ一大観光地立山連峰の原生的な風景が見られる数少ない名所として
今日まで残り続けていると思うと、助かったというべきなのか。
笹原の山頂から眺めるのは、まるでカルデラの内部にいるような風景。
剱岳、奥大日岳は勿論のこと北方稜線の面々や大日岳、大熊山や市街地方面等
富山県の山の秀麗さを撮ろうとすればここ程のスポットはないと感じるほど。
奥大日岳へ延びる西大谷尾根、ありゃキツいと見ただけで分かる。
山頂標があったので自撮りしてみた。
いやー…まさに和製マッターホルンと言うべきか、やっぱり剱岳の冠雪景観は素晴らしい。
今年はもう1回撮りに行きたい。いやもう1度ならず何度も。
一等地でラーメンを食べて暫し休憩。
日当たりポカポカでふと寝そうになる長閑な山頂で、
急峻さには堪えるものがありましたが、また来たいなと思わせる山に出逢いました。
この後帰りで滑ってお尻がドロだらけになりました。(💢・‿ ・)
去年の甲武信ヶ岳を思い出すような道でした。急登の帰りは憂鬱だ!
じゃあね~。