僕の数少ない長所は結構ドライブが好きな点。
ソロマイカー登山者はしばしば運転核心なところがありますが、
運転自体が好きなのでこれに助かっていることも多いです。
深夜のR158を「頭文字D」の曲を聴きながら爆走するのも楽しみの1つ。
前日は富山で観測史上最大の35m超の暴風が吹き荒れていた。
比較的マシな天気を追い求め、訪れたのは群馬。
国内屈指の岩稜縦走路、表妙義縦走。
2020年晩秋に訪れた際相馬岳まで順調だったが強風に気圧されて中断した。
帰りの紅葉が特筆物だったのでそれはそれで良いのだが。
麓からも望見される大の字へ。
雲を突き破る朝日が本日の吉兆を告げるようだ。
振り返った先には鈍色に染められた岩峰群が犇めき合う。
岩肌を巻き上がるビビリ岩はじっとり湿っていてなかなかのスリル。
礫岩は時折思わぬ滑り方をするので気を付ける。
巻き上がれば大のぞきの大岩壁。
妙義はいくつかクライミングルートがあるが、大のぞきにも拓かれているのだろうか。
大のぞきまで登ってきたなら、勿論下りも相応。
総延長50mの大下り。フリクションを効かせて落ち着いて降りよう。
その後も鎖場を越え、最高峰の相馬岳へ辿り着く。
この辺りは樹々が多く一瞬の平穏が訪れる。
早春の頃など緑溢れて美しいだろう。尤も、すぐ向こうは断崖。
気の抜けなさは下ノ廊下を彷彿とさせる。
この日は混雑はしていなかったのが幸い。
人が多くて良いことは一つもない。
温かな陽光が差し込む土の道は、この時期の北陸では味わえない甘味。
まだ肌寒い早春に食べるならクリームケーキよりも断然羽衣あられ。
核心 猛禽も越えられぬ鷹戻し。
ほぼ垂直の腕力勝負、鎖を離せば奈落行き。
流石に逆ルートでは懸垂下降している姿が見える。
梯子を登ってトラバースで取り付きへ。
凄まじい高度感に舌を巻く。パンプに気を付けてなるべく早く上がろう。
ようやく抜け切り、歩いてきた道程を振り返る。
冬枯れの森に佇む荒々しい岩稜は見た目以上にスパイシーだった。
中之岳でこの縦走は一旦の終了だが、難所はまだ残っている。
個人的に一番嫌らしく感じたのがこの二段ルンゼで、
途中で垂直を越えてオーバーハングとなっている。
足が届かなくても落ち着いてゆっくり下ろう。
ここで真のひと段落。
先には金洞山があるが、一度に食べるのは勿体ない。
妙義は晴れが多くて遠征に向く。またの楽しみにしておこう。
中ノ嶽神社からの展望台へ向かう参拝客は多く、挨拶をしながら駆け足で降りていく。
ここまでなら、走り屋の友達を連れてドライブがてら遊びに来ても良さそうだ。
帰りには伊香保にでも寄って行きたい…けど何気に遠いな。
帰りは1時間程度歩いて妙義神社まで引き返す。
道中のショートカットではカタクリが咲いているのを見て、早春の兆しを感じ
帰路は高速道路を使って2時間足らずでいつもの安房峠に戻ってきた。
歯に挟まったように心残りだった表妙義縦走、
夏はヒルが多いらしいので足が遠のくが、また晩秋にでも訪れたい。
おわり。