岐阜に近い県央に住んでいる身として、後立山は空白地帯です。
県境に出るまで長く、そこまでするなら穂高で…と。
精々、安房峠が通れない冬に経由する程度。
そんな遠い親戚のような白馬の名湯、白馬鑓温泉へ行ってきました。
確かこの日は前夜からドカ降り。
今日の行程は短いのでそこまで急ぐ必要もなし。
気持ち良い木漏れ日の中、猿倉を出発。
小日向のコルで晩秋の雲霞を抜け、青空が晴れ渡る。
惜しくも銀嶺の鑓ヶ岳の全貌を見ることは叶わなかった。
それなりに登ったが、ここから谷へ降りての登り返しだ。
草紅葉も冬支度を済ませ、冬の長い眠りに備えている。
荒涼とした谷をトラバースしていく。何人か同業者も見えた。
昼頃に温泉の真下に到着する。
開けた谷だからか、とても暖かに感じる。温泉の影響もあるか。
春になれば幾多のスキーヤーや登山者が訪れる。
その際、熱い源泉を冷ます為に雪を入れて温度調節するのだが
肝心の雪がないので今日は激熱だろう。
既に何人か到着していて、どうやら数PTは鑓ヶ岳へ向かっているらしい。
どうせ明日向かうのだし、今日の行程は終了。
混雑する前に温泉を満喫しよう。
日当たり良く乾いたテン場に設営して、タオルとコーラを持って一浴。
折り畳み椅子を持ってきている人もいた。そういうのも良いね。
想像していた通りアッツ…。
しかし外気は冷たいので丁度良い。
本州有数の早さで味わえる雪見露天風呂ではないだろうか。
小鳥囀る雲上の湯に浸かってから寝転び、初冬の寒風に吹かれる。
寒暖差に眠りこけそう。
これが「ととのう」なのか単なるヒートショック一歩手前なのかは…
うーん、深く考えないようにしよう。
賑やかになってきた頃、湯を譲って源頭を見に行く。
岩の切れ目から勢い良く温泉が噴き出ていた。
湯俣の噴湯丘みたいな感じになっているのだろうか。
一応水は1L持ってきていたが明日の分も欲しくなってきた。
温泉水は飲めないので、天狗側の沢に下降して補給。
今日の飯は茶漬けの素パスタ。酒に合うし美味いし後処理も楽。
結局のところ、疲れた体に合うのはこういう素朴な味付けだな。
既に日陰になったテン場で明日の用意をして、夕暮れには就寝した。
続く。