前回の続き。
2:00。寝苦しいのでぼちぼち出発準備でターミナルへ。
室堂は冬季幕営の練習に持ってこいだが
いざとなればターミナルに行ける点が素晴らしい。
1時間ほどチョコやお茶でまったりする。
外は微風・視界が効かない。大体のところで検討を付け室堂山方面へ。
夏道沿いにCo2660の分岐到着。雪は大した量もないが浄土西面は雪崩が頻発する。
谷状地形の夏道を離れ、北側斜面から直上。
下部はハイマツと新雪の岩壁。
いざとなれば谷へ逃げられるので不安はないが下降は一ノ越にしよう。
濃霧の中でライチョウが2,3羽会話中。
直下は風で叩かれスラブ化。雪崩は勘弁、さっさと登れば開けた頂上に出る。
夜明けには快晴となる予報だったが意外と長引く。
風はそこそこ吹き、ラックナー+テムレスでも冷えが伝わった。
保険で付けたGPSログだが、明らかに検討違いな方向を指していた。
あまりに寒いと方位も狂う。
幸いこの山には以前来ていて方向も知っていたので、ガスが晴れるまで40分ほど粘る。
次第に濃霧のカーテンを払い、雪煙舞う銀嶺が姿を現した。南峰と龍王岳だ。
一ノ越で繋がる対岸の雄山はまさに神々の顚。
昔の人が神聖さを求めたのも頷ける。
トレースの無いリッジは辛い寒さを耐え忍んだ分のご褒美だ。
変に崩れても困るので右手に寄る。
南峰からボーダーが降りて来て少し会話、ボウルへと落としていった。
上から見るとかなりの斜度でとても真似できそうにない。
南峰に到着、見覚えのある塔がバッキバキに凍っている。
風除けもできるので来季はここで泊まるのもアリかな。
極楽浄土を守護する龍の王。
煌めく絶顛も惹かれたが、結局また見送ってしまった。
もう3年前。
この時期の浄土山は専ら一ノ越から上がるもので、その分撮影に専念できる。
ここから見る山頂はさながらクリーミーホイップ。甘々なデザートを満喫した。
龍の背骨を思わせる東尾根がダイナミックに延びる。
僕はこの構図が大好きで、昨年撮った写真でもお気に入りの1枚。
風も少し落ち着いたか。一ノ越まで下り、雄山へ登り上げよう。
皆思い思いに登ったりシュプールを刻む。
一ノ越で知り合いスキーヤーグループが見える。
雄山では切り替わって猛烈な北風。雪の礫が顔に当たると悶絶する痛さ。
ゴーグルが無ければ即死だった…。
知り合いは南斜面を幾つか滑って戻ったみたい。
牛歩で雄山を目指したが、風雪にしばかれてまで行く気にならず
始発組に巻き込まれるのも避けたい。潔く撤退を決めた。
春先に来てるし、何が何でもという気は起きない。
始発組が押し寄せる前に嫌な新雪の下りを終え、室堂まで闊歩する。
テン場までの道がやけに長く感じる。
スキーの機動力に改めて嫉妬する。テン場に着いたのは11:00を回っていた。
雪に巻き込んだフライを掘り起こして、諸々の片付けを終えると正午。
渋滞に巻き込まれない内に麓に降り、温泉へ入って夕方には帰宅した。
おわり。