先週土曜は昼からの豪雨、予定していた頚城は酷い荒れ模様。
しかし翌日はド快晴、そういう時にホイと足を運びやすいのが穂高です。
ハードな道はなまくら続きには荷が重い。
夏前の肩慣らしに、どうせなら行ったことのないルートがいいな。
今回は上高地からの焼岳、更に西穂高岳までの未踏区間を歩いてみることにしました。
2000m級でアクセスも良く、1~2月頃にトレーニングがてら訪れることが多い。
一方、無雪期に訪れたのはだいぶ前の話。
今冬は1月に南峰、3月に岩坪山経由で登ろうとして断念。
何気に一番訪れている百名山はここ。
昨日松本に降り注いだ豪雨の影響で登山道は川と化した。
トレランシューズなので浸みるが灼熱の青空、いずれ乾くだろう。
腹痛を騙しながら暫く無心闊歩。
始発で入ったが先行がいくつか。小梨平かホテル泊の人達かな。
少し藪を分け、梯子を伝って高度を上げる。
それから蚯蚓が畝ったような道を辿れば小屋のある鞍部へ。
小休憩。ここから北峰まで400m程のラストスパート。
朝露に濡れながら快晴の登山、風抜けもあるのでカンカン照りにしては心地良い。
中尾との分岐付近でお馴染み笠ヶ岳。今夏行けるんやろか。
至る所から昇る噴気が、火山帯にいることを実感させる。
鞍部に乗ると中の湯からの登山者が続々と登ってきているのが見えた。
簡単に休憩を取って撮影に興じる。
どうやら当日山頂標が新調されたらしい。風雪でボロボロになった姿も好きなんだが。
火山というものはいいものだ…。
陳腐な表現だが、地球のエネルギーの流動を感じる。
あれに見えるは岩坪山じゃないか。
次こそこの稜線を繋ぐぞ。
出発から2時間半が経過しようとしている。
遥か遠くに見えた西穂山荘に昼までに着くといいな。
とりあえず小屋まで駆け足で下ってしまおう。
砂の道は日射に照らされてサラサラになろうとしている。
今から登る人は暑くて大変そうだな。
40分程で小屋へ。賑やかな声を背にし人気の少ない西穂への尾根へ向かう。
超人気の焼岳・西穂を繋ぐというのにここは何処かと疑う程の静けさだ。
展望の無い樹林帯・肌を焼く日射が交互に押し寄せるという点が強いのだろう。
加えて平面で見るよりもアップダウンが多く、思うようにペースが伸びない。
高山の花は瑞々しい色を放ち、疲れた体に休息と癒しを分け与えてくれる。
紅花一薬草、野薊、誰袖草、裏白瓔珞…。
御前橘が最盛を迎え、盛夏に近づき彩りも増えてきた。
割谷山からは泥濘が酷く、足が浸かる場所も出てきた。
もう開き直ってズブズブになろう。
幾人かに挨拶を交わして3時間が回った頃、山荘の裏に飛び出した。
疲れた体にコーラと醤油ラーメンのご褒美は筆舌に尽くしがたい。
暫くまったりして独標に行こうと思ったが、ちっとも人が降りてこないので
小屋がとても静かだ。
つまり大渋滞が起きていることは想像に難くなく、
今飛び出せば酷暑の稜線で混雑に巻き込まれること必定。
少し心残りだが、再訪の口実が出来たと喜ぼう。
上高地への道は木陰が多く、涼し気に高度をグングン落としていく。
少ないが水場もあるので新緑の時期にはこちらも悪くないかもしれない。
地図を眺めているだけで頭でっかちになっていたが、新たな知見が得られた。
1時間半で上高地に降りる。
上高地温泉の足湯は自由に使えるそうなので、足の疲れを解す。
少々、いやかなり熱い湯なので長湯満喫とはいかなかったが
芥川龍之介の小説にも出てくる温泉宿、
次回は温泉三昧というのも良いかな。
シーズン休日のバス待ち大行列は上高地の風物詩なので、
恐らく大正池からは乗車できないと思って河童橋まで1kmほど歩いた。
少し早い夏を感じさせる梓川のほとりを歩き、観光客の間を縫う。
焼岳に暫しの別れの挨拶を交わし、バス停へ。
間もなくあかんだな行きのバスが到着し、待つことなく乗車できた。
平湯の森で一浴して18:00頃帰宅。
おわり。