前回の続き。
マットを出して夕暮れに涼んでいると、気が付けば18時を回っていた。
赤湯温泉は男湯と女湯を分けているが、夜になればそれぞれ交代になる。
こちらが青湯だ。
真っ暗なので何が青なのだか良く分からないが、とても気に入った。
温度といい、正に僕好みの湯だった。
どうやらテレビや漫画で疲れた眼に効能がある、と古いガイドブックに記してある。
いつも痛めつけているからな。
立ち上る蒸気でほこほこになった体に、水を流し込む。
水分を通して体の全てが置き換わっていくように感じた。
少しでもこの駄文で伝われば良いのだが、素晴らしく良い温泉だったと再三記しておこう。
翌朝にも入浴し、テントを撤収して山を下りる。
名残惜しく後ろ髪が毟り取れるような思いだが、また来年の楽しみに取っておこう。
次はシャベルも必要になるかもしれない。借りられるかな?
この日は朝から小雨が降るとの予報だったが、曇天で済んだ。
出来れば向かいの平標山をピークハントしてこようかとも目論んでいたが、
意外と歩くので、車に着く頃にはその気も失せていた。
9時頃には車に戻り、湯沢か法師のどちらに行こうか思案し、
結局入浴時間の兼ね合いで湯沢に決めたのだった。
神泉の湯で一浴して、帰路どこかの食堂で昼食を食べ夕方には富山に到着した。
遠いという手前勝手な理由で長らく気の進まなかった湯沢方面に、
これほど素晴らしい秘湯があることを知らなかったのは忸怩たる思いだ。
またいずれの時に再訪してみたいと思える、良い場所だった。
おわり。