前回の続き。
3日目朝。新年初っ端から結露の冷たさで目が覚めるのは何とも気分が悪い。
4:00。まだ早いが寝る気にならず、カレーメシをかっ食らって早々とテントを片し、
Fさんに根石岳山荘へ向かうことを伝える。
山荘でトイレしたりパッキングを整えたり。お邪魔してすいません。
濡れ物の片しが終わって一段落していると、Fさんも到着する。
Fさんは今回の山行で4泊全てツェルト泊、精神力が物凄い。
6:30 風はそれなり。白け始めた空に飛び込んで天狗岳へ向かう。
天狗岳と根石岳の鞍部近くで御来光が昇る。今年も素晴らしい年になりそうだ。
新年の吉兆を告げる天狗のモルゲンロート。
冬の天狗らしく風はそれなりに吹くが、それも気にならない美しさ。
茜色の朝靄と白雪のツートンビビットの稜線。
1日の内で一番美しい時間を堪能する。
通年営業の黒百合ヒュッテからの登山者は殊更多く、
天狗の山頂は遠目でも判るくらいに賑わいを見せていた。
天狗岳は何気に初めての登頂だ。
黒百合側から2回、いずれも寒風に気圧されて辿り着けなかった峰。
今年も黒百合に行こうかなぁ。
さて、天狗は双耳峰。
西天狗へは風と雲を言い訳に今回は見送ることとした。
今日のスケジュールは結構長い。でも往復10分程度なら少し粘っても良かったかも。
当初スルー予定だった黒百合ヒュッテで大休憩を取る。
空も白け、予報よりも少しばかり重々しい曇天が続く。
ヒュッテ前の祠で新年を祈願し、次の目的地へ向かう。
峠から中山へ向かう。3日目は滑落するような場所はない。
針葉樹の小径は風も遮り、穏やかなスノーハイクを楽しめる。
八ヶ岳でもこの辺は特に地理感覚に乏しいが、お気に入りエリアとなった。
中山の平坦なピークを後にして高見石方面へ向かう。
スノーマウントや雪だるまを作るのに好適な台地だ。
晴れた日にでも再訪してみたい。
高見石小屋へ降りて、1個だけ持ってきたアミノバイタルゼリーの封を開ける。
チョコレートでは飽き飽きしていたが、果物の甘味は乾いた身体に染み込むように入る。
そういえば4月頭に北ノ俣岳へ行った際にも、強烈に柑橘類が欲しくなった。
冬の行動食でドライフルーツも少し持っていくと面白いかもしれない。
小屋を発するといくらもせず丸山に達する。
Fさんは小まめにソフトシェルを脱ぎ着していた。
一方、物臭な僕は山行中殆ど脱ぎ着しない。
BlackDiamondのハードシェル、CanRulerのアクティブインサレーション、
ジオラインMWハイネックジップ、ミレーのドライナミックメッシュ。
早朝や就寝時にDASパーカを着る程度で、基本DAS以外一切触らない。
特にアクティブインサレーションは昨年買って以降お気に入りで、
季節を問わず山行の御供だ。
似た商品は別会社から出ているが、個人的には地元企業を応援したい。
ぶっちゃけそちらよりいくらか安いしね。
この麦草峠近辺はBCツアーを楽しめるとして話を聞いていた。
何だかんだ黒百合の出発から2時間経過していたのでヒュッテで大きく休むことに。
暖かなストーブの前で、早めの昼食に期待を寄せてのんびりする。
年越しならぬ年明け蕎麦は冷え切った体が蘇る美味しさだった。
1時間程たっぷり長居した。今年中に是非BCで再訪して宿泊したいな。
さてここまでアップダウンは少なめだが、正午前に本丸がやってくる。
無雪期1dayで心がへし折られるのはこの辺りと聞いていたが、なかなか長い急登。
茶臼岳から展望台があるらしいがまたの機会にしておこう。
ここから一旦下がってから縞枯山へと切り返していく。
振り返れば特徴的な金峰山が白い頭を見せているのが樹々の狭間から見えた。
御嶽古道をおススメされた。個人的に気になっているルートだ。
僕も大嶽山参道という廃絶した道を今春計画中だ。はてさてどうなることやら。
【大岳山参道】
— 成瀬晶 (@akiranngo_M) 2022年12月22日
大嶽山那賀都神社から国師ヶ岳を繋ぐ修験の道。
国師ヶ岳南東の天狗岩には掲げられた鉄剣と当神社の奥宮がある。
起源は不明だが大正2年の地図に記され、戦後原全教や小野幸が著書で触れていたことから、1960年頃までは道筋として存在していたのだろう。→ pic.twitter.com/jgKmgoF995
縞枯の由来ともなった立ち枯れの樹林帯を抜けていく。
今朝のように重苦しい雲が西から流れ込んでくる。
縞枯山は名の知れた山なのだが標識は少し味気ない。
当初の計画では下った樹林帯で幕営予定だったが、まだまだ余裕はある。
明日の朝は風が強そうだ。願わくば北横岳を越えてしまいたい。
何とも絵になる山荘を過ぎて、ロープウェイ駅へ向かった。
結果としてはここで休めば良かった。ロープウェイには殺風景な休憩スペースしかない。
あるだけでもありがたいので贅沢は言えないが…。
30分ほど休憩して、北横岳へ登り返す。大岳と亀甲池は、テン場の都合から
いざとなれば風が弱い亀甲池を経由することとした。
ラッセルの必要もなく足早に亀甲池に下れた。こういう時小柄な僕は気が楽だ。
双子山経由にするかを話し合い、双子のピークも踏みたい気持ちもあったし
稜線の方が幾らか楽が出来そうなので、双子池ヒュッテで幕営することにした。
双子池ヒュッテに着いたのが16:00、しかしこのテン場は予約制で下調べ不足だった。
幸い特例で受付して下さった。要反省。
スノーマウント泊予定だったが、全く焼結が間に合わないので早々にテントを建て、
凍り付いたシュラフに体をねじ込んで17:00 就寝した。
幸いにも夜の強風はテン場の樹林に遮られ、揺られることはなかった。