前回の続き。
何の危険も無い。
澄み渡った青空、沢底から撫でる風が心地良い。
ちらほら見えていた渓魚もCo2150mからはたと途切れたように姿を隠した。
やがて水量も少なくなり源頭的雰囲気が強くなってくる。
うんざりするゴーロだが左手に延びる白山風露、鳥兜の群落が心の慰め。
薬師峠までガレを繋いで上がれる気もするが、折角なので水が涸れるまで進もうか。
花と岩の堆積を上がりCo2480m二股に到達。
このまま避難小屋跡まで直上するのも一興だが、ここを一区切りとしよう。
山荘に向けてガレを詰めていく。見た目に反し岩は安定して登り易い。
この時間になれば人も疎らと思ったが稜線は混雑している。
14:20 山荘のすぐ上の小高い所に出た。靴を履き替えて小休止。
鳶谷の源頭部から鍬崎山を眺めながら冗長な道を詰める。
薬師全体で最も辛い区間で足取りも重い。
山頂に着いたのは昼下がりを過ぎた頃。
流石に未明から行動し続けて草臥れた。暫く休憩。
カップヌードルを食べ終えると一層靄が強まる。
日は長いだろうがそろそろ御暇するか。
砂礫に足を取られて思いっきりズッコケた。
山荘は最近の渇水続きで水不足だと聞く。
五色ヶ原はこのまま続くようなら今期の閉鎖を早めるらしい。
この山荘にはカメラを買った頃に泊まったのが懐かしい。
明るく良い小屋だ。また再訪したい。
なかなか休ませてくれない道が続く。残雪期は何の印象もないのだが…。
ふと頭を上げると峠におびただしい数のテントが見えて気が憂くなった。
17時を過ぎていたので受付の小屋番も既に戻っていた。
つくづく朝イチ建てておいて良かったなぁ。
夕食にはお茶漬けパスタを150gがっつり平らげる。
暗くなる頃に就寝。寒い。アクティブインサレーション持ってこれば良かった。
疲れからか騒々しさの割に結構深く眠れた。
どうせ今日は降りるだけ、明るくなってからペペロンチーノを食べて撤収。
天気が良ければ雲の平、更に沢を繋いで黒部五郎岳に至る4日間を考えていたが
昨日の時点で全くその気が起きなくなった。
これ以上は贅沢というより蛇足になるだろう。
結果的に天気も大して崩れず、悔恨の気もないではなかったが
至高のアウトドアフィールドへの来夏の予定が増えたと思えば良い。
次回は薬師沢に定着するのもアリかもね。
駐車場で物の乾かしを済ませ、昼には帰宅。
あまりにも手持無沙汰だったので午後は飛騨の温泉に行こうと思ったが、
道の混み具合に辟易して翌日に持ち越すことになった。
おわり。